【jyogar教授のアモリ通信378】  恐竜学部          

◎◎さん(^^♪

こんにちは。

SILアカデミー 1on1 オンライン顧問
jyogar教授の福島清隆です。【専門は物流です】

本日のテーマは「恐竜学部」です。


選択 6 JUN.2022 VOL.48 NO6

三万人のための情報誌

新 大学評判記

◎ 福井県立大学「恐竜学部(仮称)」

「埋没大学」の哀しき奇策」 P92,93


「選択」という書店では販売していない、会員制
の月刊誌をどう評価していいものか、未だ定まっ
ていません。どこかのメディアの影響下にあるの
だろうかと思いきや、とりあえずそうでもなさそ
うです。政治経済他で、かなり厳しい論調が少な
くない同誌。今回は、敢えて「文化」といえるか
どうか、生の政治や企業経営の問題は避けて、ち
ょっと意表を突くような記事をご紹介します。

どうでもいいといえば、どうでもいい話です。
ご関心のない方はスルーを  (💦)


JR福井駅を降りたち、外に出ると、旅行客は映
画『ジュラッシック・パーク』気分を一瞬味わえ
る。福井県内で発掘された「フクイラプトル」「
フクイサウルス」「フクイティタン」の三頭の恐
竜の巨大モニュメントがそそり立っているからだ
 駅前一等地に配置するほど福井県民にとって、
恐竜は重要であり、地域の誇りでもある。

国立の福井大学とともに福井県を代表する学術
教育機関である福井県立大学もその「恐竜愛」を
共有している。「恐竜学部」(仮称、2025年4月
開講予定)の新設を決めたからだ。産経新聞は「
恐竜学部の開設は全国初」と日本メディアの悪弊
の「初物」報道で大々的に伝えたが、当たり前の
話だが日本に恐竜学部が三校も四校もあったら困
りものだ。

恐竜学部と聞いて、何を学び、研究する学部な
のか、卒業後にどんな就職先があるのか、思いつ
く人はほとんどいないだろう。恐竜そのものは古
生物学の研究領域であり、世界的には発掘調査か
ら骨格復元、複数の恐竜骨格の比較から進化をた
どるといった研究が広く存在している。恐竜が生
息していた中生代の三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の
環境や生物相を研究することは今日の地球温暖化
の解明にもつながる重要な学術領域でもある。

北海道大学、東京大学などに恐竜を研究する古
生物学専門家は多くはないがいる。それが研究者
個人の規模の研究で、学部といった大きな枠組み
では存在しないことに目をつけたのが福井県立大
といえる。福井県立大にはすでに恐竜学研究所も
あり、県内で発掘された恐竜化石の研究や中国の
ゴビ砂漠や浙江省、タイ東北部などで共同発掘事
業にも参画している。その延長線上に学部新設が
あるわけだが、本来なら古生物学的な意味での恐
竜研究は大学院博士課程の分担であり、学部で始
まる学問ではなく、学部を設けるほどの人数の専
門家養成が必要とは到底考えられない。

● 地域おこしの人材育成が主目的

開設計画によれば、恐竜学部の入学定員は30人
 全国の大学の平均でいえば、学科としても小粒
で、学部を名乗るには厳しい規模だ。だが、それ
以上に大学関係者が首をかしげるのは教育理念や
人材育成の目標など中身だ。

教育理念を要約すれば、「野外調査、屋内実験
の実習を通じ、古生物、地質、観光、デジタル関
連など幅広い分野で活躍できる人材の育成」

人材育成の目標は「古生物を深く学び、教育
・研究・政策立案にも活かせる人材」「応用地質
・岩石・地形調査を深め、都市計画や防災などに
活かせる人材」「デジタル技術を活用して観光促
進や地域の産業創出に寄与できる人材」

これらをみれば恐竜を生物学的に究めていく真
摯な研究者の姿は全く想像できない。要は、恐竜
を使った観光誘致や関連グッズ開発による町起こ
し、地域起こしのための人材育成が主目的であり
古生物学研究に使うと称して、CTスキャンやデジ
タル解析ツールなど高額の設備を購入し、その操
作実習などでデジタル化教育を進め、地域情報の
発信やビデオ、アニメ、AR(拡張現実)などのコ
ンテンツづくりにも使いたいという意図がみえみ
えだ。

この学部から将来、世界の古生物学研究の発展に
貢献するような人材が輩出される予感はない。
 そもそもその名称は生物学を連想させ、理系学
部にみえて、中身は文系学部の「羊頭狗肉」。
文理融合、学際的とかけ離れた内容では学部名称
として不適切でしかない。現在は「仮称」だが、
文部科学省が認可する際には名称変更を要求され
る可能性が高い。と大学の学部、学科の新設の文
科省への申請業務を請け負うコンサルタントは指
摘する。

福井県立大学は全国に約百校ある公立大学のな
かでは比較的規模が大きく、経済学部、生物資源
学部、海洋生物資源学部、看護福祉学部の四学部
と大学院三研究科で合計1800人近い学生を抱えて
いる。北陸三県では最も目立たない福井県の学校
ということもあって、大学としての全国的な知名
度は低く、著名な卒業生や教授は皆無。持続性に
懸念がもたれる典型的な「埋没大学」(前述のコ
ンサルタント)

恐竜学部は起死回生の話題づくりだったわけだ
が、埋没への危機感は少子高齢化、過疎化、人口
減少、企業活動の低迷が進む福井県そのものの状
況に重なる。福井県民が自慢できるのは「原発」
「永平寺」「越前ガニ」の三点セットくらい。期
待の北陸新幹線は15年3月の金沢までの開通こそ
華々しかったが、その先の福井や敦賀への延伸は
忘れられ、ようやく23年度末に金沢~敦賀間が開
業の見通し。関西電力の大飯原発、美浜原発の再
稼働は全国で最も原発が集中する福井経済にプラ
ス効果をもたらしているものの、原発の将来性に
は暗雲が垂れ込めている。

● ”ちゃんぽん学部”の行く末

「マンガ学部」。06年4月、京都精華大学が開
設した、マンガを学び、マンガ家を養成する学部
はその名称が曲がりなりにも最高学府とされる大
学のイメージと大きく乖離しており、世間に衝撃
を与えた。「マンガは読むもので、大学で学ぶも
のか?」といった厳しい批判も受けたが、同大が
もともと芸術系で、洋画、陶芸、映画やイラスト
などを学ぶ大学だったことから、マンガも表現形
態のひとつとして教育に溶け込み、全国から学生
を集め、定着した。マンガ学部は奇抜にみえて、
教育目的、内容は明確で、それを求める学生も多
かった。京都精華大学に続き、東京工芸大学が芸
術学部にマンガ学科を設けるなど追随する大学が
出たことが学部のコンセプトの正しさを証明して
いる。

では、福井県立大学を追って、恐竜学部や恐竜
学科を開設する大学が現れるだろうか。間違いな
く皆無だろう。全身骨格が発見され、世界の研究
者が注目する北海道むかわ町の「カムイサウルス
・ジャポニスク(通称:むかわ竜)」を擁し、古
生物学研究者も少なくない北海道ですら「恐竜」
を学部、学科に冠しようという大学はない。

恐竜だけでは、コンセプトが不明瞭で、社会的
な価値や意味がほとんど伝わらないからだ。理学
部に古生物学科を設け、恐竜学部をつくるのなら
正統派の研究者育成の意欲を感じさせるが、生物
学も発掘も町起こしも、災害対策も、恐竜ツアー
ガイドもといった、”ちゃんぽん学部”では数年
後には空中分解してしまうだろう。

地域活性化のための話題作りという地元からの
プレッシャーは各地の地方公立大学が受けている
 だが、地方自治体からも生まれない名案が地元
大学から出てくるはずもない。結果的に地元の名
物、特産を使った話題作りでお茶を濁すことにな
る。恐竜学部はそんな背景から生まれた哀しい新
学部構想なのだ。

強引な話題づくりに成算はあるか
(岩崎行玄学長と恐竜学部キャンパウ予定地
 ウェブサイトより)


(私見)

一刀両断とはまさにこのことでは。

多くの反対を押し切って、見事に成功させた。
世の中にはそういう事例は少なくないと思い
ます。そういう事例には素直に喝采を送ります。

大谷翔平の大活躍に対して、「早いうちにどちら
か一つに絞った方が賢明」などと、正に凡人の分
析をしていた私。お猿さんの反省をしています。

しかし、恐竜学部なるもの。これはこの記事の
筆者は明記されていないのですが、「この通り
だろうなぁ~」というのが率直な感想です。

マンガ学部の定着は、日本はアニメで世界をリ
ードする高い文化性が根付いているからといって
も過言ではないと個人的に思っています。


「マンガは読むもので、大学で学ぶものか?」と
いった厳しい批判も受けたが、同大がもともと芸
術系で、洋画、陶芸、映画やイラストなどを学ぶ
大学だったことから、マンガも表現形態のひとつ
として教育に溶け込み、全国から学生を集め、定
着した。マンガ学部は奇抜にみえて、教育目的、
内容は明確で、それを求める学生も多かった。
 京都精華大学に続き、東京工芸大学が芸術学部
にマンガ学科を設けるなど追随する大学が出たこ
とが学部のコンセプトの正しさを証明している。


一方、恐竜学部は・・・・・・

『結果的に地元の名物、特産を使った話題作りで
お茶を濁すことになる。恐竜学部はそんな背景か
ら生まれた哀しい新学部構想なのだ。』

福井県立大学の岩崎行玄学長がどのような人物な
のか全く分かりません。また、この構想を推進し
ている関係者を含めて、この記事にどのように反
論されるのでしょう。

大方の予想に反して、定着したら、またまた、
私自身、改めて自分の凡庸さを自覚して「お猿さ
んの反省」をします。

が、この件に関してはどうも著者の分析通りにな
るような気がします。

むしろ、こういう現実が存在することへの驚き
を感じます。

◎◎さんは、同大の「恐竜学部」が「選択」の
著者の分析に反して成功し定着すると思われる
でしょうか。

ご意見をお聞かせいただければ嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

◎◎さんの幸運な日々を祈念します。

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