【アモリ通信228:実行力:橋下 徹】   20190911

福島清隆 さん


 こんにちは。


キャッシュフローコーチ &
    リスクマネージャーの福島清隆です。
 本日のテーマは「実行力:橋下 徹」です。

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  実行力    橋下 徹

   結果を出す「仕組み」のつくり方

   人心掌握・課題解決・マインドセット
  4万8000人の組織を動かしてきた
  橋本流「君主論」の全思考!

   PHP新書  \900 + 税

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過日、橋下徹氏の講演を聴く機会がありました。

38歳で大阪府知事。42歳で大阪市長。
7人の子持ちのようで、政界から引退した現在は、
 弁護士・評論家として活動されて51歳のようです。

 (7人も子供がいたら、政治家やってるより、弁護
 士と評論家で稼いどかないとタイヘンなのでは、
と、ついつい余計なことを・・・苦笑)

いつものように、「好きか嫌いか」は別として、と
 にかく同氏の経験・実績に基づく話は、私にはオモ
 シロカッタ。

 大阪都構想なるものに、なるほどそういう意味が込
められているのかと、その背景を含めよく理解でき
 ました。

 大阪市と大阪府は「仲が良くない」状態から、今は
「一心同体?」のような仕組みで、着実に大阪は、
かっての地盤沈下から復活しているのは間違いあり
 ません。

なるほど福岡では、知事と市長の仲がヨロシクナイ
現状は、将来に向けてちっともプラスにならないの
 だなとも気づかされました。

 福岡に限らず、皆様の居住地は、市長と知事の関係
は如何なものでしょうか。
 仲良し(笑) そこそこ  犬猿の仲

 一番最後だったら、確実に「問題アリ」でしょう。

さて、それは兎も角として、本書の要旨について触
れていきます。

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第1章  まずは、人を動かす
第2章  本当に実行すべき課題はどう見つけるか
第3章  実行し、信頼される人の条件とは
第4章  実行のための「ビジョン作り」と
    「チーム作り」
 第5章  上司を動かし、提案を通す
第6章  情報を制する者は、組織を制す
第7章  日本と大阪を「実行できる組織」にする
     ために

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本書は「ビジネス書・経営実務論」といってもいい
 のではないかと私は感じています。

 流石に、弁護士だけあって、理路整然としていて、
 分かり易い。まして実績をベースに解説しているの
 で、説得力がある。
 「口が悪い」「お行儀が悪い」のは「持って生まれ
 た性格」なので仕方ないとして・・・
( オコラレル カナ  ???   アセアセアセ  )


全部をサマリーしたいところですが、一部、個人的
に印象に残ったところをいくつか抜き出してみます

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第1章 まずは、人を動かす

 ・人材登用には失敗はつきもの」と考えよ
 「人を見極めて適材適所に人事配置をしなければ
 いけない」と言われますが、そんなことを完璧に
 できる人がいるでしょうか。
・僕の「失敗例」
  大阪市長時代、大阪市役所の幹部である局長や区
  長、そして公立小中学校の校長の人事に公募制度
  を導入しました。
  (説明が長くなるので詳細は割愛しますが、外部
  出身の人材はなかなか定着せず、応募者も増えて
 いないとのこと。橋下氏は、「人材登用や人事管
  理で一番重要なことは、「失敗は必ずあるもの」
  と考えておくこと、とのこと)

・「最後は従う」を守ってもらうと、多様な意見を
 取り入れられる
 「周囲にイエスマンばかり置くな」というのは、
  一理あります。しかし、「最終的に決ったことに
 は従う」という点を押さえていないと、意見が平
  行線をたどって、いつまで経っても結論が出なく
 なります。
  「決ったことには従う」という原則を組織に守っ
 てもらうことが、反対意見を聞くための大きなポ
 イントだと僕は、思ってます。


 第2章  本当に実行すべき課題はどう見つけるか

 ・「右か左か分からない」という案件は「割り箸役
  」になって決める。
  「そこまで組織で徹底して議論しても結論が出な
 い問題は、どちらに転んでもメリットもリスクも
 ほぼ同じ。そうであれば自分は割り箸役になって
 右か左に倒れるだけでいい」
  リーダーは絶対的に正しい決定をするというより
 、誰もが決められない問題について「決める」と
 いうことが役割なんです。
  そう割り切らないとリーダーなんて務まりません
 ・「判断の基準」を部下に示すことは問題解決の
 第一歩
  リーダーは自分の判断基準・軸を日頃から組織の
 メンバーに伝えておくことが必要。
  僕の場合は「フェア」(公平性)という軸を柱の
 一つにしていました。
  一言、二言、リーダーから組織にメッセージを出
  すだけではダメなのです。リーダーがいくつかの
 事例について自らの行動で示さなければなりませ
 ん。これが組織全体に伝わっていき、リーダーが
 細かな指示を出さなくても、常に万人にチャンス
 を与える制度に仕上げて僕のところにあげてくる
 ようになりました。


 第3章  実行し、信頼される人の条件とは

 ・「部下ができないこと」を実行するのが、リーダ
 ーの役割
  マキャベリも名著「君主論」において「統治者は
 最初に衝撃的な大事業を行うべき」という意味の
 ことを語っています。
  当時、府庁の職員たちの積年の不満は「国直轄事
  業の地方負担金」の問題でした。金額は数百億円
  「国の仕事だから、国が全額資金を出すべきだ」
  というのが地方の主張。国は「聞く耳持たず」で
 知らん顔。
  「これはぼったくりバーじゃないか。こんなもん
 は、支払を拒否する」と、国ととことん喧嘩する
 宣言をしました。
  これまで絶対に見直しができないと言われていた
 地方負担金の見直しに僕がチャレンジし、実際に
 それを実現したことで、府庁の現場の職員が僕の
 話により聞く耳を持ってくれるようになったと思
  います。
  これまでのチームのメンバーが、絶対にできなか
 ったことをやる。それがリーダーと部下の信頼関
  係の土台です。

・人がついてくる最大の理由は「共感」
  人事権や政治力がなく、部下との個人的な人間関
  係もそれほどないリーダーが部下を引っ張るメイ
 ンの力は「共感力」です。
  目標の実現に向かってとにかく突き進む姿に、人
  は強い共感を覚えます。「口だけのチャレンジ」
  は絶対に避けなければなりません。
  真にチャレンジする姿を部下に示すことが、部下
  を引っ張る原動力です。 
  2010年、年頭に大阪都構想を打ち出してからは茨
  (いばら)の道の連続でした。そこから2015年5
 月の住民投票に至るまでの約5年半、いったい
 何段の階段を上がってきたのか分かりません。
●口だけの大谷昭宏というコメンテーターなんて、
  「もうこれで終り、次はない」なんて言ってまし
 た。「大阪都構想には法律の改正が必要だが、
  国会では大阪都構想なんて歯牙にもかけてない」
  などと言い放ったのです。
  道を拓くには行動しかありません。目の前の階段
  を上がり続けるしかないのです。


 第4章  実行のための「ビジョン作り」と
    「チーム作り」

・「ビジョン作り」と「チーム作り」はソフトと
 ハードのワンセット
 企業がコンサルタントを入れて提案書を出させて
 もうまくいかないのは、彼ら彼女らのレポートに
 は、ハード、つまり組織体制の部分が抜け落ちて
 いるからです。 (中略)
  戦略を実行できる組織になっていないので、実行
  できない。コンサルタント一人ひとりは戦略を作
  るプロかもしれませんが、トップとして大きな組
  織を動かした経験がないため、組織上の問題点に
 なかなか気づかないからでしょう。


 第5章  上司を動かし、提案を通す

 ・トップは比較優位で考えている
 多くの人があたまを悩ませるのは「上司が自分の
 提案を聞いてくれない」ということでしょう。
  自分の提案を通したいなら、まずは相手の思考回
  路を知ることです。
  僕は「案を出すときには、三つだして欲しい」と
 言っていました。
  トップは難しい案件ばかり抱えています。
  「比較優位」の思考回路を持っていないと、デメ
 リットばかりに目がいってしまって、何も決断で
 きなくなります。
  日本の教育では、比較優位の思考が教えられてい
 ないため、新しい案、一つの案の問題点だけをあ
 げつらい、批判するという、偏った議論があちこ
 ちで見られます。
  よくメリット・デメリットを比較せよ、と言われ
 ますが、それは一案についてのメリット・デメリ
 ットを比較するのではなく、新しい案と現状、な
 いしは複数案のメリット・デメリットを比較し、
  優位なほう、よりましなほうを選択すべきなので
 す。


 第6章  情報を制する者は、組織を制す

 ・一部の人に政治力を握らせないための、メールの
 活用法
  僕は、原則としてすべての情報をオープンにして
 いましたので、記者たちは、僕の書いたメールを
 入手して記事にしていたくらいです。
  一般でも、リーダー職にある人は、自分の方針や
 考え方、思考方法を部下やメンバーに浸透させる
 ために、メールや社内チャットなど活用するとい
 いと思います。
  一斉メールを使えば、自分の考え方を部下たちに
 より知ってもらえますし、情報共有もしやすくな
 ります。

  組織にいると「この情報は私だけが持っている」
  ということが大きな力になります。
  一斉メールでみんなに情報を流したもう一つの理
  由は、特定の人物の情報の独占が変な形で力の源
  泉になってしまう状態を変えたかったからです。

  僕が特定の誰かだけに自分の考えを伝えたとしま
 しょう。すべてではありませんが、自分の意見を
 通すために「これが知事の意向だ」と勝手に言う
 ことができてしまいます。
  「この人には知事からの情報が集っているんだな
 」と周囲が感じることが、その人が組織内で力を
 もつポイントになります。

  そもそも「情報を知っていること」と「業務遂行
  能力」は別物です。
  業務能力以外のおかしな政治力を行使できないよ
 うにするには、巨大組織であればあるほど情報を
 フラット化することが必要でした。


 第7章  日本と大阪を「実行できる組織」にする
     ために

 ・プランと組織体制は常にワンセット
 2015年5月17日の住民投票は、投票率67%、賛成
  約69万5000票、反対約70万5000票で反対多数と
 なり、否決となりました。
  0.8%の僅差でしたが、否決は否決です。この結
  果を受けて、僕は12月18日、市長任期満了をも
 って政治家を引退しました。

●この住民投票の結果について、大前研一氏は、
  「橋下徹君へ『なぜ君は敗北したか教えよう』」
  なんていう偉そうな記事を出しました。
  (プレジデントオンライン2015年7月1日記事)

  その中で「橋下は日本維新の会など作らず、
  始めから大阪都構想の賛否を問う住民投票をやれ
 ばよかった」といった意味のことを主張していま
 した。

  これを見て、「ああ、この人物は物事を実行する
 プロセスをまったく分かっていない単なるコンサ
 ルタントにすぎないんだな」とつくづく思いまし
 た。

  大阪都構想の実行プランがない中で、大阪都構想
  について住民にイエス・ノーを聞いても全く意味
  がありません。そのような住民投票をやっていた
 ら、イギリスのブレグジットと同じような大混乱
  を招いていたか、住民投票の結果は無視されてい
 たでしょう。

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ご紹介したい内容は、他にも沢山ありますが、これ
 くらいにしておきます。

 今回のメルマガを面白いと感じられた方は本書の
購入をお勧めします。
 組織運営や経営のあり方にも大いに参考になると私
は思います。


 「●」の部分は、堂々と個人名を上げて、「非難」
してます。自分に自信と信念のある人は、こうやっ
 てストレートに喧嘩を売れるのでしょう。 
 彼の個性でもあるに違いありません。


 既に政治家を引退した橋下氏ですが、本書を読んで
 このまま弁護士、評論家にしておくにはもったいな
 いと私は思いました。 彼はまだ51歳です。

きっといつか復活する日があると感じてます。

 私の勝手な推察では・・・・・
子供を7人も抱えて、政治家の給料で子供7人を大学
までいかすのは大変。家族が脅迫されるリスクもあ
 るし。
 今は弁護士・評論家でしっかり稼いでおこう。
 言いたいことも遠慮なく言えるし、「贈り物を貰っ
 ても汚職にならないし・・・この部分は講演でおっ
 しゃって笑いを誘ってました」 (笑)


 案外あたってるんじゃないかなぁ~~ (笑)


 政治家には本書のタイトル通り、実行力が欠かせま
 せん。(政治家に限りませんね・・・)
そして「強い個性」も必要だと私は常々思っていま
 す。単に「いい人」ではだめでしょう。

あのトランプが大統領になって大騒ぎがありました
 が、今でも反対派はいるにしても、彼を支持する層
は確実に増えているそうです。
2020年の再選は間違いないというのが現時点の大方
の予想のようです。


 私は、何年か後に橋下氏が政界に復帰することがあ
 るのではないか。そう予想します。

 他人から好かれようなどと思わず、嫌われることも
厭はない。もっと大きな使命の為に、ビジョンを掲
げ組織を作り、ひとつ一つ実行していく。

そういう政治家、経営者はなかなかいないのが実態
ではないでしょうか。

 私も、気楽な評論家モードでアモリ通信を継続する
 ことが本意である訳でなく、実際のビジネスで実績
を積み重ねていけるように、自分に気合を入れてい
 ます (汗;;;)

 


 福島さんは好き嫌いを別として、橋下徹氏
をどのように評価されますか。

 本メルマガを読んだだけで、印象が変った部分が
 あるでしょうか。

 


ご意見をお聞かせいただければ嬉しいです。

 


 最後まで読んでいただきありがとうございます。

 


 福島さんの幸運な日々を祈念します。

 


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