【アモリ通信206:大久保利通】  20190410

福島清隆 さん


こんにちは。


キャッシュフローコーチ &
   リスクマネージャーの福島清隆です。
本日のテーマは「大久保利通」です。

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 日本史上最高の英雄(ヒーロー)

 大久保利通

    倉山 満   徳間書店 \1250+税

西郷を殺してまで守らねばならなかったものとは?
”憲法九条”を叩き潰した男
ーーー大久保の「未来への意思」だけが幕末維新を
突き動かした!

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 いまこそ大久保利通に学ぶべきだ!

 大久保は常に冷静沈着、私心がない男だった。
だが、西郷に関することだけは激情を爆発させた。
一番大切な仲間だからだ。それでも大久保は己の感
情を押し殺し、その一番大切な仲間を殺した。

 おかげで、日露戦争の勝利で日本は世界に冠たる
大帝国となった。(中略)しかし、大日本帝国は地
球の地図から消えてしまった。そして、外国の軍隊
に占領され続けるという、建国以来の恥ずかしい時
代を我々は生きている。

 これを恥ずかしいと思うか、否か。恥ずかしいと
思うならば、学ぶしかない。幕末、外国に祖国の土
を蹂躙されてなるものかと誓った大久保のように
      (「あとがき」より)

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昨年のNHK大河ドラマ「西郷(せごどん)」を観て
西郷隆盛はもちろんのこと、大久保利通についても
もう少し詳しくなろうという気持ちになりました。

西郷隆盛が今も人気のある歴史上の人物であるのに
対し、大久保利通は知名度こそあれ、お世辞にも人
気があるとは言えません。

しかしながら、もし大久保がいなかったら、日本は
とんでもない国というか、今でいう発展途上国の
ような国になっていたのではないか?

そんな気がして、少しだけでも彼について学んでみ
ようという気になりました。

そうはいっても、今回の倉山満氏の「大久保利通」
をサマリーするにはあまりに内容が深すぎて無理が
ありますので、目次の紹介と「第五章」と「あとが
き」のそれぞれ一部を抜粋することにします。

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第一章 世界情勢の中の幕末日本
第二章 尊攘派に翻弄された「激動」の幕末
第三章 怪物・一橋慶喜との死闘
第四章 大久保利通の「未來への意思」
第五章 なぜ西郷隆盛を殺したのか
終章  英雄たちの死と近代国家の誕生
あとがき

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第五章 なぜ西郷隆盛を殺したのか

・大久保利通は、私心を捨て、国家に身を捧げたつ
 もりだった。国家意識である。その為には、最新
 の文物を学び、富を蓄え、兵を整えなければなら
 ない。

・岩倉使節団が不在の二年近くのあいだに、留守政
 府の江藤たちがすっかり主流派になり権力を握っ
 ていた。
 使節団が留守の間の成果は目覚ましかった。四民
 平等令、田畑永代売買解禁、陸海軍省と近衛師団
 の設置、国立銀行条例、徴兵制導入、太陽暦の採
 用、地租改正が次々となされた。
 電信が通り、鉄道が開通し、富岡製糸工場も開業
 した。

・二年近くも国を空けていた以上、大久保らも留守
 政府の業績を認めざるを得ない。それに、それら
 の業績は行政事項である。小事とも言えるし、国
 の運命を決める政治事項ではない。

・だが、留守政府は外交問題でも重要な決定をして
 いた。いわゆる征韓論である。西郷を朝鮮に派遣
 することが決定されていた。当時の常識では、戦
 争辞さずである。ただし、征韓論が持ち上がった
 のは、何もこのときが初めてではない。

・非礼に加えて、一向に自立しようとしない朝鮮を
 そのままにしておけば、即、日本の安全保障にか
 かわる。「征韓」はいつかはやらなければならな
 い問題であった。

・大久保にとっては、征韓論争は奪権闘争である。
 江藤の薩長に対する、ひいては自分に対する敵愾
 心は激烈である。先の山縣や井上の追い落としは
 自分や木戸孝允への攻撃に他ならない。大久保は
 江藤が政府を乗っ取る気であると見做した。

・そもそも、なぜ江藤如きが西郷さん側にいて、政
 府を主導しているのか?。尻馬に乗る桐野や篠原
 は意味が分かっているのか?。
 何より、西郷さんはどうする気なのか?

・生涯において常にわかり合えて来た大久保と西郷
 は、ここに激突する。

・だが、慶喜打倒以来の西郷を振り返れば、怒りを
 爆発させるのも当然かもしれない。
 西郷は、大久保と二人三脚で徳川慶喜を、幕藩体
 制を倒した。ずっと二人は背中合わせで戦える親
 友だった。常に西郷は、大久保の為に盾となり矛
 となり、時に江戸焼き討ちのような汚れ役も買っ
 て出た。鳥羽伏見の戦いの後、西郷は燃え尽き、
 郷里の薩摩に帰っていたが、大久保の望むままに
 上京し、廃藩置県のような荒事もやり遂げた。
 大久保が外国に行きたいと言えば、留守の政府も
 預かった。汚職にまみれているが仕事はできる、
 大久保側近の山縣や井上を庇った。

・大久保からしたら、西郷さんなら黙って自分の言
 うことを聞いてくれるという甘えがあったかもし
 れない。
 単細胞の桐野や篠原でもなく、権力を目当てに西
 郷にすり寄る江藤でもなく、西郷が最後に選ぶの
 命がけの戦いをくぐり抜けてきた自分に決まって
 いる。
 そうだとしたら、それこそ西郷への甘えだが。
 お互いが意地を張り合い、引くに引けなくなった

・それより何より、もはや朝鮮問題は政争の具と化
 していた。
 西郷を担ぐ江藤と、奪権闘争を挑む大久保の。
 大久保は「内地優先」を唱え、内務省を作るのが
 先決であるという大義名分のもと、征韓は時期尚
 早と論じた。また、他の外交案件もあり、現時点
 での国際的緊張の不可を説く。

・明治天皇の御裁断という形で、西郷の朝鮮派遣を
 含め征韓反対の決定がくだる。江藤・板垣・副島
 らも参議を辞す。桐野や篠原ら、西郷を慕う文武
 官六百人が下野した。近衛兵の辞職も多かった。
 実に政府の半分が消えた。

・大久保は勝った。権力を振り回し、対外政策でも
 危険な冒険をしようとした江藤たちを追い出した
 。これで国策は正常に戻る。自分は正しいことを
 したはずだ。だが、何もうれしくない勝利だった

・伊藤博文が西郷と大久保の最後のやりとりにたち
 あっていたという。

 西郷  「おいは帰る、後の事はよかたのむ」
 大久保 「おいは知らん」 
 西郷  「知らんとはなんつうこつか」

・伊藤はオロオロするばかりだった。
 二人が激しいやり取りをするのを、伊藤は初めて
 見たと語っている。
 それほど仲の良かった二人の、今生の別れとなっ
 た。その後は、手紙のやりとりもしなくなった。



  (西南の役に関する部分の一部)

・現在の警視総監にあたる川路利良警視庁大警視は
 西郷と私学校に密偵を放つ。 ここまでならば上
 司の大久保も同意する。 ところが、密偵が持っ
 ていた電報に「ボウズヲシサツセヨ」とあった。

・ボウズとは西郷を指す暗号だ。ボウズを刺殺。
 私学校の生徒たちは「西郷さんを殺す気か」と
 激怒する。しかし、本当に殺す気ならばそれを
 文字に残しはしないだろう。
 どう考えても「シサツ」は「視察」だ。
 「刺殺」だとしたのは、集団で酔っぱらってい
 たのか?

・大久保が、伊藤や井上、山縣や大隈など他藩出
 身の人物を多く重用したのは、藩閥として徒党
 を組むのを嫌ったという、清潔さもある。
 ただ、薩摩の人間は討幕まではともかく、政治
 には向いていないと考えてもいた。そもそも、
 自分が西郷さんを殺す命令など出すはずがない
 。そんなことも分からない連中を、国づくりの
 要職に就けられるはずがない。

・はずがなかった・・・・・・

・大久保は知る由も無かったが、西郷はよりにも
 よって、すべてを桐野利秋に委ねる。
 反乱軍の大義名分は「シサツ」とはどういうこ
 とか、政府の真意を問い糾すだった。
 そして、鹿児島から陸路、熊本城に向かって直
 進進行軍を開始した。これでは、まるで集団自
 殺でしかない。



 (大久保利通の志を継いだ伊藤博文について)

・さて、大久保利通の志は、明治14年の政変を勝
 ち抜いた伊藤博文が継ぐことになる。

・大久保が生きていた時代、伊藤は二流の人物だ
 った。能吏ではあったが、大久保の下僚にすぎ
 ない。岩倉使節団では己の語学力を過信し、言
 い訳不能の大失態を犯している。そもそも、維
 新で大久保に拾われる前は、高杉晋作の使い走
 りにすぎなかった。高杉が常に頼りにしたのは
 伊藤ではなく、山縣有明だった。松下村塾でも
 吉田松陰は優しく接してくれたが、伊藤はむし
 ろ落ちこぼれの部類だった。

・その伊藤が、大久保の理想を実現した。

・地位が人を作る。そして政治の世界では、えて
 して権力闘争を勝ち抜いた政治家が大きく化け
 ることがある。伊藤がそうだった。

・そして日清日露戦争の勝利で、幕末以来の念願
 だった不平等条約の改正を達成した。
 日本は、世界の誰にも媚びる必要のない強い国
 、すなわち文明国になった。
 ようやく尊王攘夷が実現した。

・大久保が、西郷を殺してでもやり遂げなければ
 ならなかった理想だった。

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第五章約50Pの要点の部分を抜き出したのですが
主旨をお伝えできたでしょうか。

他にも転載したいところがありましたが、これく
らいにします。

なぜ、西郷と大久保が仲たがいをしてしまったの
か。

著者の、倉山満氏の分析をそのまま受け入れると
して、大久保には西郷さんならきっと自分を分っ
てくれるという「甘え」があったのでしょう。

そして西郷も大久保の理想を理解していたのでし
ょう。

しかし、時代の流れが二人を引き裂かざるを得な
かったと私は考えます。

「シサツ」が「刺殺」ではなく「視察」だという
ことは、西郷自身が理解できていたことではない
でしょうか。

昨年の大河ドラマでの最後の西郷のセリフ
「おいが死ねば、日本国中の士族たちが、ようや
く別の生き方を見つけようとすっじゃろう。おい
の死とともに、新しか日本が生まるっとじゃ!」


現代においても、人気の西郷の前に大久保利通の
評価は一般的には厳しいものがあるように思いま
す。しかし、今の日本には、正に大久保利通のよ
うな政治家の再来が望まれるように私には思えて
なりません。

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ただ、薩摩の人間は討幕まではともかく、政治
には向いていないと考えてもいた。そもそも、
自分が西郷さんを殺す命令など出すはずがない。
そんなことも分からない連中を、国づくりの
要職に就けられるはずがない。
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鹿児島生まれ育ちの私は、この部分にも妙に納得
しています  (汗)





福島さんは西郷隆盛と比べて、大久保利通
をどのように評価されますか。




ご意見をお聞かせいただければ嬉しいです。




最後まで読んでいただきありがとうございます。




福島さんの幸運な日々を祈念します。




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